56. "Rock in The Kinky Place" (Slight Return)

ナヴィゲーター席で。
さて、しつこく宣伝しまくった昨夜のイベントを終えて、パートナーともどもぐったりしてさっさと寝てしまった昨夜。皆様はお楽しみ頂けただろうか、などと考えつつ、寝床から起き上がって、一服つけながら、"編集後記"的なものをば。
こういう時、つい、「ペンを走らせている」などと書きそうになる自分はきっとすごく旧弊なのでしょう。考えてみれば好きな音楽も、今風なメインストリームなものからはズレ切っている。
結局そういうズレたものを、皆様にお届けしたかった。
けれど今の私は、自分で音を作ることを放棄した身。だから、DJの力を借りて、ダンサーの力を借りて、それをキュレーター的にお届けするような形で。煎じ詰めると、"Rock in The Kinky Place"というイベントは今後そういったもの育つのかもしれません。
とにもかくにも、ご来場の皆様の暖かい喝采に、心から感謝を。
本当にありがとうございました。

Miruka Ramone
今回はそういう意味合いで、自分のキュレーションの感覚を明確にしたかったので、ブッキングも自分でやった結果、裏方仕事をほぼひとりでやったのですが、そういう「ズレ」た感じを大事にしようと思った時に、このひとへのオファーはすぐ決まりました。このSecond Lifeという世界で、一貫して現在のメインストリームからズレた、けれどロックのコアな部分を紹介し続けてきたDJ。
Miruka Ramoneはそういうプレイヤーです。
実際、イベント当夜の彼女の選曲は60s~70sを中心にした、少なくともSLの日本人コミュニティではあまり聞かれないものでした。案外海外の小型Clubでは、こういうレトロなサウンドが流れているのかもしれない。オープニングのThe Whoから、このひとのスロット特有のある種の場末感が漂っていました。「そう、これなんだよね、これ」、みたいなね。
で、実はMiruka Ramoneにオファーすると決めた時点で、もうあとのDJの選択肢はカチっと決まってしまいました。
Sarah Kisaragi
Sarah Kisaragiもまた独特なスタイルを持っています。
彼女はボイスによるキュートで軽妙なおしゃべりを一方の軸に、もう一方ではハードでヘヴィなサウンドをスピンしてくる、Radio ShowスタイルのパーソナリティタイプのDJなのですが、独特なツボを押さえた選曲を、洋の東西を問わずにしてくるので、耳目を離せません。DJの他にもヴォーカリストや、ダンスショウへの出演など多彩な活動をしているので、出演店は多くないのですが、そのぶんご来場のお客様には新鮮だったかもしれませんね。Dance Floorをひとつのエンターテインメントと考えた時、現在のClubシーンのメインストリームであるつなぎ重視のスタイルと異なった彼女の存在は異彩を放っています。
(ここで宣伝。彼女のダンスショウでのソロデビューが来週月曜日に決まりました。詳細はこちらで。Sarahらしいキュートでポップなフレグランスに溢れた演目が予想されます)
YoshinoN Nishi
で、ここまでくればもうあとはこのひと一択。言わずと知れたSL Metal DJの古豪、YoshinoN Nishi。前回から引き続いての出演となります。
長く豊富なキャリアとステージ経験を持つ彼女は、よく北欧メタルとの関連が語られますが、実はバルト海沿岸を中心に、欧州各地から幅広い分野の珍しい音楽を集めてきて紹介する水先案内人のようなDJでもあったりします。メタルというジャンルに抵抗がある方にも、実は一度聞いてみてほしいDJのひとりです。
また独特なステージファッションで毎回ステージを彩るファッショニスタでもあり、いつも動向に要注目といえるでしょう。今回は「楊貴妃ができた!」と、いつもと異なった雰囲気のルックスでステージに現れて、いきなりカンツォーネロックめいたものをスピンして、フロアを沸かせていました。
Rukia Hashimoto
さて難航したのはリードダンサーの人選。意中のダンサーは活動休止中。けれど、今回はなんとしても彼女に頼みたかった。
そういう無理に応えて戻ってきてくれたRukia。
ブランクあるからなー、などと言いつつ、やっぱり期待に応えてくれて、フライヤーの撮りからぶっとばしてくれました。
諸般の事情で、広報段階では彼女の出演を公表できなかったのですが、やはりステージに上がると、独特の「るきあワールド」が展開されます。フロアダンサーのエンターテインメントのありようを熟知した彼女の参加は、どうしても今回のイベントには不可欠なものだったのです。自画自賛めいて恐縮なんだけれど、彼女にオファー出した自分を褒めてあげたい(苦笑)。
しかも衣装が「態度と魔女」で一部カルト的人気の"Boys to the Bone"なのも彼女らしいチョイス。これでステージの背骨が固まりました。
Mai the DollyLara
では背骨に対してあばらに当たるステージに居並ぶサイドダンサー。なにしろ神はアダムのあばらからイヴをお造りになられたそうですから、ここの人選をゆるがせにすると興ざめもいいところ。
今回は艶やかさとか華やかさを重視しての人選だったのですが、ひとりは既定路線で、前回のこのイベントでデビューを飾ったMai。
私のFlickrでおなじみの、うちのスタジオの看板モデルです。
彼女とSarahのショットがFlickrに上がると来訪者がわーっと増えるのですが、今回もセクシーなのにどこかすれていない独特な空気感でステージに花を添えてくれました。
今後も彼女にはステージの華やぎのコアとして期待したいところ。Rukiaとの並びはなかなかに目を惹きつけます。
Tamaki "Kitsunebi" Mori
で、「艶やかささと華やかさ」、ということで、思い切って異色の大駒を配してみました。
私のパートナーであるTamakiです。
彼女は最近Clubシーンに興味があるのか、私のこちら方面の活動に色々コミットしてきて、有益な助言をくれるのですが、思い切ってステージに上げちゃえ、と。
恐らくこれがステージデビューなのですが、さすがに名うての強者。堂々とステージで艶やかさを振りまいて、存在感を出していました。彼女がくるくると回していた黄金のマグナムは衣装合わせの段階でアイデアとして出していたのですが、そろったダンスの中に持ち込まれたスパイスとして異彩を放っていました。そう、彼女はいつもいつもクレヴァーでユニークなのです。無理聞いてくれて感謝。
Fuga the Charaider
そして、"彼"の起用はいわばバクチでした。過去の私なら絶対やらなかった人選なのですが、このバクチは打ってみたかった。
Fugaはその2枚目なルックスと裏腹な3枚目っぽいトークが独特なアンビバレンツを醸し出すおいしいキャラです。
"紅一点"の対義語にあたるいい表現が浮かばずになんとも歯がゆいのですが、彼の強烈な異物感がステージに面白い刺激を加えることに期待してのオファーでした。実際、全キャスト/スタッフの中で唯一の男性ですから。「更衣室ではぼっち」だのといじられていましたが、いい隠し味としてお仕事してくれました。
実は彼は接客経験は豊富なようで、そのトークが場内にいい感じの楽しさを生んでいましたので、賭けには勝ったな、と(微笑)。
あ、そうそう、"The Obento Girls + "F"のいわゆる"F"は彼のことです。きっと皆様お気づきですよね?

実は、このイベントを企画するにあたって、大きく私のモチベーションを刺激した方と出来事がありました。
Ms. Ebiii Mayo
それがこのエビマヨ嬢。
一斗缶で有名な、独特なスタンスで活動を続けるSLクリエイターなのですが、彼女があるウェブサイトに掲載された"SLの現状"的な記事に対して単身異議申し立てをして、その記者をガイドし、その見解をかなり修正した、という勇気ある行動があったのですが、それが前回のイベント後、いささかSLにおいて厭世的になっていた私を刺激したのです。彼女はアタックした。私が落ちててどうすんのよ、という具合に。
だから、彼女に楽しんでもらえればいいなと、そこは本気で考えていました。彼女の趣味嗜好をしつこくリサーチしたりなどはしなかったのですが、私のキュレーションが彼女のパッションに少しでも触れられれば、ということはとても考えました。
"Rock in The Kinky Place II"が成立したのは、かなりの部分彼女のおかげです。改めて感謝を。

こうして騒々しくも華やかにカーテンを下したイベントでしたが、皆様にお楽しみいただけたら幸いです。
次は、そうだなあ......2月にでもやろうかな、なんて思いつつ、企画を温め始めています。またご縁があったら、皆様と会場で。

「またあなたと踊りたいから、今度は何を企もうか」




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