33. "A Efficacy of Interior"

11月に入ってから、割と疾風迅雷な日々を過ごしておりまして、良くも悪くもバタバタしていました。そんなことしてる間に、すっかりお鍋がおいしい季節になりましたね。
箴言の類ばかり書いてお茶を濁すのもなんだかなあと思っていたところです。
皆様はつつがなくお過ごしですか?

最近とても重層的なセンスを持った女子と創作の時間をともにしているのですが、彼女といて触発されたことを、とりとめもなく綴ってみましょうか。

私のガールフレンドたちは総じて、自分のいるべき場所の空間演出が上手な人が多い。そのことは私も承知していたのです。反面私はそれがあまり上手ではありません。
私のアトリエにおいでになられた方はご存知かと思うのですが、板切れ一枚どーんとだだっ広く置いてある中に、ポーススタンドが散乱して、という大変殺風景な場。
スタジオである程度重いセットを置いても、なるべく軽くカメラが回るように、という意図でやっているのですが、実は「自身のことになると途端に面倒くさがりになる」自分へのエクスキューズに過ぎないのでしょうね。

最近やったお仕事で、同時進行的に仕掛けたもので、Second Life内の観光名所として知られるPinoの一角でのショット。このセッションは、人気DJのGina Watanabeが出演するClubイベントのフライヤー撮影だったのですが、ほぼ同時にこの部屋の内装小物の制作をやっていました。場末のナイトパブらしい内装を凝った演出で作り上げたのは、親友であるBelle C.ですが、代表作である"1951"でも痛感したけれど、こういうの作らせると本当にうまい。彼女の場合、プロの3D造形屋なので、部屋や舞台装置にような大道具はほとんど自作してしまいます。
なので彼女の創作にうまく寄り添えるようなものをと、"70年代のうさんくさいカンフー映画のポスター"であるとか、"幸薄そうな演歌歌手の新曲発売キャンペーンのポスター"であるとか、この手のパブに欠かせない"ウイスキーの景品のヌードカレンダー"といったものを制作してみたわけです。

一方で、さりげないふわっとした生活感を空気に漂わせるお部屋づくりというと、椎名ミチル。先程書いた、「最近組んでくれてる重層的な魅力の女子、って彼女のことです。
モデルとしてとても魅力的な女子なのですが、実はありあわせの建築や家具を巧みに組み合わせて、こうした空気感溢れる内装を作り出してきます。広い意味での「編集」のセンスにとても優れた人なのでしょう。
あるいはそうしたセンスはDJ的とも言えるかもしれません。バラバラな材料を組み合わせ、繋いだり切ったりをして、あるトータルな色や空気を感じさせるものに仕上げる、という意味では、とてもDJ的な感覚で内装を考えている人のように思えてならないのです。
でこうした直近の経験で、ああ、最近の自分は「作品の空気感を自分で作ろうとする意識が過剰になってたな」、なんてことに眼を開かされたな、なんて。そういえば、環境の重さを言い訳にして、最近ロケ撮影もしてなかったものねえ。

え、今更そんなことに気づいたわけ?なんて言われちゃいそうだけれど、あることを何年、何十年とやってても、都度ちいさな発見があって、「ああああ!」って思えることがあるって、素敵なことなんじゃないかなって思うんです。それじゃダメ?


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