9. "Situation"

La Grande Revue No.1
私が割と好んでSecond Lifeの中で戯作するもの。それは「風景としての広告看板」にSecond Lifeの人物や事物を取り入れて、きちんと空気感が出せないものか、といった意図の写真作品。せっかくメタな世界で遊んでいるのですから、この世界の事物をつかって徹底してメタな遊びをしませんか、ということでしょうか。
元々最近の主な作品発表の場であるとか、オーダーされるお仕事が、ディスコティークの広告や内装用肖像であることもこういった趣向と無関係ではないのですが、もっと根っこのところで、私はきっとパロディストなのでしょうね。架空のものを細かく積み上げて、架空だけれど、匂いであるとか空気のざらつきであるとか、そういうものを感じさせながら、どこか場面の脇で作者が顔を出して。ぺろっと舌を出しているような、そんな景観を作って見せたい、なんて考えています。我ながら因果な趣味ですね。本当に。けれど、そんなことも楽しい。

もともとこうした傾向に拍車をかけるきっかけとなったのは、Second lifeの某有名観光スポットの経営者である友人と、「昭和のカラオケスナック」を作ろうかなどという企画について話し合った時に、「じゃあそれらしい広告写真をアバター使って作ろうか」というなんとも突飛な思いつきを実行に移したこと。結局この企画は未完成のまま放置されてしまったのですが(おーい!いつ再開するのよーー?)、それ以降今の勤務先でも時折こういう変なネタ系企画が頭をもたげて、その種の変な広告を作っては、オーナーがそのたびに頭を痛めるという事態になっています。本当にご愁傷様です。
シリアスな肖像写真家と私を認識していらっしゃる読者諸敬からは「ふざけるな!」とお叱りをいただきそうなことばかりやっているんですが、基本ポリシーが「メタバースは楽しんだもん勝ち」といったものなので、そこいらはお許しを頂きたいところ。

最後にご紹介するのは、友人の北欧メタル好きな女流DJといっしょに作ったもので、彼女の大好物のニシンの缶詰「シュールストレミング」やフィンランドの酢昆布っぽいキャンディ「サルミアッキ」の広告ポスターとして作った一連のシリーズのひとつです。
現実に美味しいかどうかは、彼女に訊いてみるほかないのですが......

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